TPPと岩手の民俗芸能
TPPと岩手の民俗芸能

TPPと岩手の民俗芸能 2011年10月25日

いま話題の「TPP(環太平洋連携協定)」。
アメリカを含む、環太平洋地域の9カ国で貿易や経済行為を自由化する枠組みです。
11月のAPEC首脳会合(アジア太平洋経済協力会議)に前後して交渉を妥結する方向です。
ここに日本も参加するかどうかが、大きな問題となっています。

岩手の民俗芸能との関係では、
「TPPに参加すると安い農産物が無制限に輸入されるようになり、地域の農林水産業がなりたたなくなるから民俗芸能の存続が危ぶまれる」 ということが言えそうです。
が、
「日本の農林水産業も構造改革すれば大丈夫」
「農林水産業以外の企業は景気回復につながるからTPPに参加したほうがいい」
という方もいらっしゃるかもしれません。
そもそも、産業や経済の変化といった間接的な影響が民俗芸能にどう及ぶかはよくわからない・・・というむきもあるでしょう。
それでは、こういうのはどうでしょうか。

10月21日、政府の国家戦略室が「TPP協定交渉の分野別状況」というものを発表しました。
※下記URL参照
http://www.npu.go.jp/policy/policy08/pdf/20111014/20111021_1.pdf
TPPは農林水産業だけではなく、あらゆる貿易や経済行為を自由化する枠組みです。具体的には24の分野にわたる作業部会が設けられていますが、今回の国家戦略室のレポートでは21の項目にわたって整理しています。
このうち、「知的財産」の項では、
「P4協定及び豪・NZ・ASEAN・FTAには,遺伝資源,伝統的知識及び民間伝承(フォークロア)に保護を与えることを可能とする旨の条項が含まれているが,こうした規定が求められる場合には,慎重な検討が必要となる。ただし,これらについてはそもそも定義等の基本的な事項を巡って多数国間の場で南北対立が続いており,このような事項がTPP協定に盛り込まれる可能性は低い。」(P.36〜37)
と記されています。

P4協定というのは、シンガポール,ニュージーランド,チリ,ブルネイの4カ国による協定で、原則的にあらゆる分野の関税と非関税障壁を撤廃することを掲げています。 この協定を元に、現在は参加国が11に増えて、TPP協定の合意に向けた交渉が進められています。

「保護を与える」「TPP協定に盛り込まれる可能性は低い」の意味が問題なのですが、一読しただけではよくわかりません。
ひとまず、「遺伝資源,伝統的知識及び民間伝承(フォークロア)」が並べて議論されていることに注目しましょう。
遺伝資源とTPPについて言うと、「遺伝子組換作物を押しつけられる!」ということで話題になっています。
ということは、「伝統的知識及び民間伝承(フォークロア)」もひょっとして…?

その先にあるものが何か。
ヴァンダナ=シヴァの言葉をお借りしましょう。
「精神のモノカルチャー」。


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