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岩手町秋まつり
岩手町秋まつり
日程:2001年10月5日(金)〜10月7日(日)
場所:岩手町 沼宮内 市街
交通機関:
JR東北本線沼宮内駅下車
内容:
※沼宮内稲荷神社例大祭を中心とするお祭です。
5日 13時〜 稲荷神社神輿渡御(お通り)
6日 18時 神輿運行、山車、郷土芸能合同パレード
17時20分 郷土芸能実演
7日 13時〜 神輿還御(お帰り)
15時 民謡、歌謡ショー(勤労青少年ホーム)
映画上映(予定:勤労青少年ホーム)
…山車&芸能好きの“けんちゃん”が「岩手町秋まつり」のレポートをくださいましたので紹介します。
内容は“例年の様子”を主にしており、必ずしも“今年も同じ”とは限りませんのでご了承ください。
Check the 岩手町秋まつり!!
★その魅力は…
もうほとんど廃れてしまったと思われる、郷土芸能の”門付け”と
いう習慣を、ほとんど盛んな時期と同じ形で見ることが出来る貴重な場が、この「岩手町秋祭り」。この慣習を最も良い形で見るために、列車に乗って沼宮内へ行きましょう。過去10回沼宮内を訪ね、このお祭りのいいところを見る方法は大体会得しましたので、今回は自信を持ってガイダンスさせていただきます。
東北本線を利用し、沼宮内駅に大体14:30ごろにつくような列車に乗りましょう。駅から北へ向かう一本道を歩いて行くと、30分くらいで商店街に入ります。歩く道すがら、よく耳を澄ましてみてください。どこかでお囃子の音が聞こえてきたら、そっちへ行ってみましょう。おそらく一番最初に南下してくるのは駒踊です。
門付け@:南部駒踊
一般に”沼宮内駒踊”とされているようですが、保存会側で”南部駒踊”を名乗っていますのでそちらを優先しましょう。道路沿いの民家の庭や、商店の店先で20人くらいで輪踊りをしています。県内に多い大野系の駒踊りを4つのパーツに分解して改良を加え、独特のリズムを刻みながらかなり激しく上体を倒して乱舞します。おおの駒踊と比較してかなり動きの加わった、娯楽性のある芸能になっています。
駒踊の門付けは各戸で1, 2回、15:00頃には駅前まで南下してくると思います。駒踊を見つつ、ゆっくりと商店街の方へ北上していきましょう。県内の南部流山車では最大といわれる、高さ5メートルの山車も駅のほうへ南下してきます。全部で5台、いずれも盛岡で昭和期に見られたような古い形を残した名品です。16:00ごろでしょうか。今度は七ツ踊の門付けが南下してきます。
門付けA:沼宮内七ツ踊
岩泉の七頭舞とも違いますが、県北の杵舞中心の七つ物踊ともちょっと違います。踊りに入る前はおなじみの七つ囃子ですが、踊りに入るとリズムが変わり、前後の踊り手が戦うようなしぐさを交えて踊ります。七つ物を“弁慶の七つ道具”と考えている踊り組が岩手町内にあり、その影響を受けたのかもしれません。独特の掛け声も面白いはげしい輪踊りです。
七ツ踊の門付けは東側の山の上などで行われており、だんだん南下してくると、駅前の商店などの店先で踊ります。16:00以降はいったん北上をやめて、南下してくるのが良いでしょう。なぜわざわざ北上したのかというと、時間潰しです。駒踊の南下と七ツ踊の南下の間に2時間ほどの空きがあるので、その間は山車でも探しつつ、一本道を行ったり来たりというのがよいです。そうしているうちに門付けのお囃子が聞こえてきますので。さて、七ツ踊の門付けとほぼときを同じくして、獅子踊の門付けが駅前付近でおこなわれます。
門付けB:五日市獅子踊
幕踊系の紙ザイ獅子踊です。踊りに入る直前に急にお囃子のリズムが早くなるのが特徴で、踊りは獅子が走る様子を激しく写したものや、幕を面白く使った滑稽な動作などからなる、比較的に長い踊りです。紙ザイですので、カナガラ獅子よりも動きが早く、見ごたえがあります。
獅子踊の門付けは輪ではなく列で行われ、人数も多く、迫力があります。山車について行くと分かるのですが、郷土芸能も山車も、駅前を西に進んだ農協へと進んでいきます。ここは夜のパレードの待機場所であり、この農協へ向かう通りで獅子踊が主に門付けをしています。七ツ踊もやっています。5:00ごろ、だいたい山車がすべて農協前に集まり、最後の山車がライトをともしてやってくるのが5:30、その頃でだいたい門付けは終わります。
山車
さて、せっかく沼宮内に来たのですから、県内有数の技術を持つ山車もしっかり見ておきましょう。
@新町組
ダイナミックな動きのある人形が魅力の、古型の山車です。見返りに縁起物を飾るのが特徴。表は主に武者ものですが、歌舞伎演目も一時期盛んに作られていました。
…過去の名作 「助六」 「巴御前」 「松前鉄之助」 「加藤清正」 「碇知盛」
A大町組
歌舞伎ものと武者ものを交互に出しています。見返しにも力が入っていて、表の演目も珍しいものがたくさんありました。
…過去の名作 「石川五右衛門」 「藤島の戦い」 「鳥居前」 「椿説弓張月」
Bの組
京人形の気品あふれる古型の名品中の名品。沼宮内に来たらまずここの山車はチェックです。顔が良く、動きもあり、演目も珍しい。山車ファンにはたまらない一台です。
…過去の名作 「乙若丸」 「宇治川先陣」 「関羽」
C愛宕組
最近自作をはじめた山車組で、歌舞伎の勇壮な一体ものの山車が主体。照明技術が大変に優れているので、夜の華ともいえる山車組です。見返しは昔話。
…過去の名作 「暫」 「碇知盛」 「釣鐘の景清」 /「鶴の恩返し」 「かちかち山」
Dろ組
独特の情緒的な表情の人形が特徴で、武者ものが主。特にも源平もの。歌舞伎ものでは和藤内が得意。独特の青い照明も雰囲気を出していてよいです。
…過去の名作 「義経弓流し」 「川中島」 「貞任・宗任」 「八艘跳び」
さて、5台の山車が出揃った所で、そろそろ暗くなってきましたし、商店街のほうへ北上していきましょう(17:45)。七つ踊り、駒踊り、獅子踊りはいずれも商店街に入らないと演舞を行いません。堤燈が下がっているあたりまで北上して、パレ−ドの到着を待ちましょう。
加えて、これは去年発見したのですが、パレードの到着までの約一時間の間、商店街(通称大町といわれる付近 大町楽々座という建物がある)では、岩手町の郷土芸能三団体による演舞が行われておりました。アイヌを思わせる独特の装束で、槍を持って古武術のような踊りをする鎧剣舞「浮島念仏剣舞」、「黒内田植踊」の仲踊と振袖を着た女性の踊、北上芸能祭でお馴染みの北日本唯一の狐踊「川口きつね踊」が、場所を転々としながら2・3回演舞をします。
19:00過ぎ、やっと七つ踊りのリズムが聞こえてきて、パレードの到着となります。七ツ踊、駒踊、獅子踊とも、総勢50人規模の大群舞を繰り広げ、門打ちの時とはまた違った雰囲気で楽しめます。七ツ踊はなんといっても掛け声のかけ方が違います。実に威勢が良い。太鼓打ちもかなり動きます。駒踊は30人あまりのササラすり集団の迫力。南部駒踊の魅力はこのササラすりが他の踊組と比較して明らかに動きが多いこと。また、テビラガネ、太鼓、ササラ、駒の順に並んでいるので各々の聞き分け、味わい分けも出来ます。ある郷土芸能イベントで南部駒踊の演舞を見ましたが、どうやら「ステージ用」と「パレード用」の2つの踊り方があるようです。沼宮内まつりのパレードでしか見られない「パレード用」の迫力のある踊をじっくり楽しんでください(北上芸能
祭の中野七頭舞レベルで人が密集している人気芸能です)。
獅子踊は七ツ踊、駒踊りより若干演舞の回数が少ないですが、門付け時よりリズムが早くなってより勇壮さを増しているので見ごたえがあります。
芸能3つの激しい演舞の後に、5台の山車が続きます。愛宕組はじめ、沼宮内の山車は照明技術が優れており、また、お囃子のテンポがゆっくりで余情があります。小太鼓のリズムで鉦を打っているのも、沼宮内ならではの特徴でしょう。ろ組がパレード中に音頭を上げることがあります。
最後に屋台が続きます。「北上川清流太鼓」です。普通の太鼓団体がやるような演目に加え、山車のお囃子を崩したもの(沼宮内をはじめ県北のお囃子をアレンジ)、駒踊を崩したもの(パレードのときは主にコレ。実に迫力がある。)などなど、色々あります。
20:30頃でだいたい商店街を通過し、パレードが終わります。終わった後の沼宮内の町は、淋しさも手伝ってか大変寒い気がします。ねぶたに代表されるような北の祭りの迫力、情熱とかいうものを、沼宮内のお祭りでは十分に味わえるようで、更に、郷土芸能に対する人々の「眼」というものまで、昔のまんま残っているとさえ思ってしまいます。郷土芸能を楽しむ上での「王道」といえるイベントだと、私は常々思いつつ、今年も行ってみようと思うのでした。
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…というわけで、けんちゃんに感謝。
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