7月の日記
7月の日記
♪管理人の日々のできごとや、考えたことを掲載します。
 芸能を実際に見てきての報告も、たまには載せます。





8月の日記へ…



2001年7月28日(土)
  煮しめ旨い
 今日は盛岡市加賀野の川留稲荷神社の例祭の日。と思っていたのだが、きのう神社の前を通ったら、貼り紙などそれらしい雰囲気がなかった。どうやら今年はこの日程でお祭りをしないらしい。芸能ごよみにも掲載してしまっていたので、急いで「今年は中止」との訂正文をサイトに掲載した。
 それでも訂正文を見ずに来てしまう人がひょっとするといるかもしれない。神社でしばらく張り込んでおいて、来てしまった人に一言おわびをしておこう。そんなわけで川留稲荷神社へ。
 13時ごろに神社に到着。露店が出ている。のぼりも立っている。本殿も社務所も神楽殿も開いている。あれ?しまった。やはりお祭りは今日だったようだ。
 社務所の人いわく、神楽は14時から。ついでに「煮しめ食ってかない?」といわれて、本殿・社務所と棟続きの建物にあがらせていただく。赤飯と煮しめ、塩もみキュウリを食いながら、社務所の方にこの神社の言われなどをきく。
「昔は中津川もよく氾濫したらしくて、それを治めることを祈願して建てたものだそうです。この神社は三田商店が管理しているんです。三田商店って知ってますか?いまは中央通にあって石油とかやってますが…。三田家は信心深い家柄で、廃藩置県のときに南部の殿様が手放した神社を引き取ったんです。加賀野大日如来もうちの管理です。煮しめの野菜もうちの農場でつくってるものです。そう、三馬橋のそばの三田農場のね。」
 新ジャガやにんじんなどを上品な味で仕上げていてうまい煮しめだ。それに、建物も庭も立派。なんだか贅沢な時間を過ごしている。“南昌荘”や“一の倉邸”(いずれも盛岡市内で一般公開されている古いお屋敷)が好きな方にはおすすめ。このお祭りのときにしか開かないらしいというが、もったいない話しだ。
 しばらく一人で食っていたが、しばらくすると若いおねーちゃんたち二人がやってくる。続いて、重役さんらしき男性も来る。このお客さんたちも台所ではたらいているおねーちゃんたちも三田商店の社員さん一同らしい。
 14時ごろ、大宮神楽の人たちがトラックで到着。ゆっくり準備をし始める。14時半ごろ、下座の所定の位置に座った囃し手たちが「誰も見でねぐてもひとこと"はじめます"ぐらい言ったらいかべ」などと話しているかと思うと、囃子がはじまる。7月14日の住吉神社例祭の奉納では笛担当の人がこられなかったとのことだが、今回は笛つき。演目は御神楽・三番叟・ふうしょう・庭すずめ("庭鎮"か?)・節流儀(せつろんぎ)・山の神。ストーリーがある劇仕立てのものはなく、どれも舞で見せる演目だ。この神楽の囃子には随所で緩急があり、囃子手と舞手、もしくは囃子手どうしが合わせるのが難しそうだ。しかし今回はこれまでに見た中ではいちばん囃子があっており、特に「山の神」は一部を端折ったとはいえ、見ごたえがあった。今後、囃子手の後継者がうまく育っていくことを期待したい。

  見前の七夕
 川留稲荷神社での神楽の奉納は、神楽殿では八演目。そのあと拝殿でさらに奉納するとのことだが神楽衆の方々みずから「まずはこれで終わりです」というので、続きは割愛させていただいて、見前町の七夕へいく。写真
 17:20に東見前の見前公民館に到着。公民館の前には子供達が70〜80名近く集まっている。大人たちが叫んで整列させている。
 七夕というのは見前地区に伝わるお祭りである。
 太鼓・笛の囃子手、踊り手、灯篭をもった者が行列をして歩く。その間、囃子手はずっと通りの囃子を奏でている。そして随所で門付けをし、踊り手は家の前で踊りを披露する。この繰り返しで何軒もの家を回っていく。太鼓の囃子手はさんさ踊りのように太鼓を腹につけている。また、踊り手は一八と二八という2つのグループに分かれている。一八は盛岡周辺の念仏剣舞のサルコ・一八が持つような、紙の房がついた棒を持つ。二八は胆沢町周辺の念仏剣舞で使う"こくずい"のような、棒を赤い布で包んだものを持つ。舞い方は盛岡周辺の田植踊の“なかおどり”に似ている。山岸系のさんさ踊りの"七夕くずし"にも似た感じがあるから、この類の芸能がさんさに何らかの影響を与えたことも考えられる。
 17:30、出発の時刻になると、まずはそろって踊りの披露をし、続いて3つのグループにわかれ、囃子を打ち鳴らしながら順番に通りへ出て行く。最初は公民館から今宮神社まで移動して終わりかとおもったが、そうではなくてわりとマメに門付けをする。そして、子供達の親の世代(=中堅どころ)の大人が積極的に世話役をしている。
 「この七夕は昨年復活したもの」ときいていたが、改めてきいてみたところそれは私の誤解だった。昨年復活したのは"笛"のお囃子。行事と踊り自体はずっと続いていたらしい。笛が入っていないものをきいたわけではないのだが、笛の音と太鼓の音があいまってばっちし。例年は8月第1週の週末にやっているが、ちょうど「都南花火大会」と重なった人がとられてしまうので、今年から1週間早めたという。
 住宅が密集した地域や、家がまばらな昔ながらの田んぼの中などを門付けしてまわるうちに日が落ちてくる。回りながら、特に大きな2軒のお宅の庭先でジュースやおにぎりなどを出して休憩をとる。その2軒目のお宅で灯篭の蝋燭に火を灯す。闇の中、灯篭が映える。前庭のない住宅が密集したところでは四つ角で舞を披露したりし、くまなく門付けをしていき、やがてひとめぐりしてくる。
 さいごに公民館前に各グループが集合し、みんなで舞を披露。大人たちは叫び通しでたいへんお疲れのようだったが、こういった指導者があってこその充実したお祭りだということを強く感じさせられた。また来年も見に来たくなる祭りだ。




2001年7月22日(日)
  かりくりあっさのさー
 もう一年以上前になるが、岩手大学の民俗芸能サークル"ばっけ"の方々と酒を飲んでいた折、花巻出身の学生が一芸を披露することとなった。彼は
「こーとしーのたーうえーわーかりくりあっさのさー」
と唄いながら踊りだした。一同爆笑。
 中学校だかで習った「湯本田植踊」というものとのことだが、彼のキャラのせいか、ふざけているとしか思えない。本人はひたすら照れているだけだが、周りは
「その踊り、いまおまえが作ったんだろー」
「だいたい“かりくりあっさのさー”って何よ」
「ほら、よく女子高生とかが言ってんじゃん。“あいつー、ちょーウザいからー、とりあえずかりくりあっさのさー”とか」
「いわね―よそんなこと」
と、勝手に話をふくらませていた。
 その湯本田植え踊りが上演されるとのことで花巻市郷土芸能鑑賞会へいく。"ばっけ"からの命令で、今回はビデオ撮影もしておくこととした。
 で、件の田植え踊りは確かに「かりくりあっさのさー」といっていた。が、その踊りは酔っ払いの踊りとは違って、いい男衆が息をそろえて田を耕す場面のものだった。その他にも子供達の綾踊りっぽいものや早乙女の笠ふりなどもりだくさんの芸能。見ごたえがある。やはり、恐れ多くも由緒ある民俗芸能を酒の席の余興に出してしまうのは誤解のもとだ。
 田植え踊りの取材が目当てで行ったこの芸能鑑賞会、思いのほか収穫がたくさんあった。円万寺神楽は「まんじゅう売り」という狂言を上演。大きなホールでありながら、観客を意識しながらの好演で笑かしてくれた。胡四王神楽は「天降り」。幸田神楽は「龍宮わたり」を上演。私は「幸田=岳系の神楽」と理解していたのだが、見てみると大償系の舞ぶりも入っている。動きもやわらかいし、囃子をよくきいている踊り方をする。これはじっくり見てみたい神楽だ。



  いまどきの若い者の様子
 盛岡市大通のPlayer's Cafeへいく。このところ夜遊びがしんどくなっているのだが、DJ BAR DAIでバーテンをしているYさんがDJをするとのことで久々に出かけた。
 22時ごろに店内に入るとまだ先客はなし。カウンターのバーテン氏に話をきく。

 彼は店長で、年齢は私と同じ。
…この店はわりと新しいですよね
「前はNUDEっていうバーがあったんですけど、それとはまったく別です。その前はBAMBOOっていう盛岡でも老舗のクラブだったんです。僕らの世代は知りませんけど」
…ちかごろお客さんは増えてますか?
「う〜ん。HIPHOPとかR&Bきいてる女の子とか増えてますけどねえ、なかなかクラブに足を運ぶっていうふうにはならないみたいですね。入りにくいというか身内の雰囲気みたいなのがどうしても盛岡ではあるのかもしれないです。この店は誰にでも来てもらえる雰囲気をつくりたいと思ってます。選曲はいろいろですけれども、ユルめのソウル、ダンスクラシック、ハウス、R&Bなんかが多いですね。僕もDJをやるんですよ。最初はHIPHOPで、それからTECHNOにはまって、いまはDEEP HOUSEなんかをやってます。」
…自分も以前はHIPHOPばっかりきいてましたが、クラブに来るようになってからはHOUSEなんかを聴くようになったんです。でもHOUSEってレコードを買う基準がよくわからないんですが…
「HOUSEの場合はシンガーとかよりはプロデューサーやリミキサーで選ぶことが多いんですね。それから、レーベルごとに雰囲気がだいたい決まっているので、気に入ったレーベルのものを買うとわりと間違いがないかも。ビギナーにはMasters At Worksのものがおすすめですね」
…でもHOUSEってクラブでつないでプレイされているのをきくのはいいんですけど、自分で一枚一枚かけて聴くのってめんどくさい。
「うちの店でもこんどミックステープをつくる予定です。HOUSEも入れますのでぜひどうぞ」
…ちかごろDrum&Baseなんかも聴くんですけど、そういうイベントはないんですか?
「盛岡ではほとんどないですねえ。そっち系のガイジンのDJが盛岡にいて、いっぺん、うちでやったんですよ。だけどお客さんがとまどっちゃった感じで…。東京なんかだと盛り上がるんでしょうけど盛岡ではまだまだです。TECHNOならBillie'sでけっこうやってますけど」

 そんな話をしているうちに23時をすぎ、ようやく人が増えだす。しかし多く見ても30人ぐらい。広めのフロアなのでもったいない気もする。3時ごろになって、ようやくYさんの出番。彼がDJをするのはかなり久しぶりとのこと。ましてやよその店で回すのは4年ぶりぐらいで、出番まで「緊張しまくり」と繰り返し語っていた。やたらとでっかいレコードをの箱を持ってきているのに、先に回したDJと曲がダブってしまい「ほとんど使えないっす」と嘆いてる。それでも「今日は神様をつれてきました」とジェイムズ・ブラウンの顔写真いりTシャツを着用してくるところを見ると、気合は充分だ。そんなYさんがブースに入るとフロアの客は大盛り上がり。わりとまったり系のミドルテンポな選曲なのに、曲をつなぐたびに歓声があがる。うまくつなげなくても歓声があがる。

※Player's Cafeは盛岡市大通“佐々木電気”向かい、ドラッグトマトの地下。



2001年7月20日(金)
  兄川先祓い
 先祓いという芸能がある。岩手県北の「七つ物」や剣舞に似たような雰囲気をもつ芸能だ。私は、以前に北上みちのく芸能まつりに来たのを見ただけで、最近まではあまり意識していなかった。
 さて、今年の正月に秋田県鹿角市に「大日堂舞楽」を見に行った。舞楽といっても宮廷舞楽とはずいぶん違う。といって山伏神楽のようかというと、そうでもない。まあ、比類のない芸能なんだけど、どうも岩手県の芸能とも共通する部分があるようにも思えて、なんとも不思議な感じだった。その大日堂舞楽の中に「もみおし」という演目がある。それを見たとき、「おっ。先祓いっぽい」と思った。大日堂舞楽の伝わる秋田県鹿角市と、先祓いが伝わる岩手県安代町は隣接している。鹿角市にも先祓いがあるという。…そんなわけで、先祓いが気になりだした。
 で、安代町兄川へ行く。兄川の先祓いは、周辺に数ある中でも古いものだといわれている。鹿角のほうでは先祓いのことを「兄川舞」と通称するとのこと。
 12時ごろからあたりは激しい通り雨になったが、開始時刻の13時にはすっかりあがり晴天に。13時、兄川の公民館で神事。舞手の多くは子供たちで、神事のあいだも公民館の外でトンボの足をむしったりして遊んでいる。神事が終わり、みんな外にでてきて公民館の前でひと踊り。直径40cmぐらいの締太鼓をつけた囃子手と踊り手が輪になって、2分ぐらい踊る。それが終わると列になって移動。囃子手は太鼓をうちながら歩く。神輿と、猿田彦(…天狗の格好を想像していただけるとよいだろう)の面・装束の者とが続く。神輿には帯が数本ついている廻りに付いて歩く大人がそれをクイクイひくと、つけてある鈴がちりちりと鳴る。と、直径1mぐらいのどでかい締太鼓をもった大人たちの列が、太鼓をゆっくり打ちながら着いて歩き出す。腹に響く。山に響く。じいさんが横笛を吹きはじめる。どの音も、互いを意識しないように奏でられる。
 数百メートル歩き、稲荷神社に神輿を入れて神事の後、先祓いの奉納。刀や扇を使ったノリノリな踊りで、なかなかオモロい。先祓いのあとに、大太鼓の大人たちによる盆踊りがある。大太鼓にあわせてゆったり踊っている。今回は参拝者も見ているだけだが、盆には同じ踊りをみんなでおどるという。お供えの鯛の生菓子がみんなに分けられる。食べると長生きするとのこと。私も一ちぎりもらう。「生菓子=餡子」なわけで、甘い。=うまい。和菓子は甘いにかぎる。
 ひととおり終わったあと、また同じ道をもどって、公民館のとなりの八幡宮へ。そこにも神輿をいれる。踊りの前に、記念写真の撮影。ずいぶん時間をかけて何枚も撮る。将来、この写真を見た人たちが交わす会話を想像して少し哀しくなる。 



2001年7月17日(火)
  大出 早池峰神社例大祭
 遠野市大出(おおいで)の早池峰神社例大祭へいく。
 早池峰山というと大迫町というイメージがあるが、実際はこのでかい山は大迫町・川井村・遠野市にまたがっている。そして、その修験道の霊峰としての性質から、大迫町岳、川井村江繋、遠野市大出の三箇所に、早池峰山を奉する主要な神社がある(藩制期は神仏混交だったが)。それぞれの神社には神楽があり、互いに競い合う関係にあった。互いの交流も盛んであったとのこと。
 現在では早池峰神楽というと岳・大償の知名度が抜群だが、そういう背景をきくと、やはり大出のものも江繋のものも見てみたくなる。で、まずは大出へ。
 遠野市内から30分ほど、19:00ごろに大出の早池峰神社に到着。17日が宵宮で神楽の奉納。18日が例祭で、鹿踊などの芸能も奉納される。
 ちょうど着いたのと同時に神楽の囃子がきこえてくる。いそいで山門をくぐると正面に神楽の舞手が見える。いきなり正面に神楽が見えるというのは意外だが、それはこの神社の建物の配置によっている。
 山の中の神社にしては思いのほか境内が平坦で広く、巨大な藁葺づくりの山門・中門・本殿とが一直線上にならんでいる。その中門を神楽殿としている。いや、中門でなくそういう神楽殿なのか。いずれにせよそういう位置にあるので、山門をくぐると正面に神楽の奉納が見えるということになる。
 今回の演目は大出早池峰神楽による鳥舞,翁,三番叟,八幡舞,山の神,天降り,おだまき,同じく遠野市の小倉神楽による鳥舞,岩戸開き。小倉神楽は大出の弟子神楽とのこと。例年だとやはり大出の弟子神楽である宮守村の鱒沢神楽も奉納するらしい。
 ただ、大出と小倉では芸風がかなり異なる、小倉は岳神楽に通じる部分もいくぶんあるが、大出は囃子も舞ぶりもまったくといっていいほど違うように見える。特に、鳥舞は両団体とも奉納したのだが、違いが顕著に見て取れた。大出の系統の神楽を神人(しんと)神楽というらしいが、同じ神人神楽の中でも大出のような芸風は大出だけで、あとは小倉も鱒沢もそのほかも大体おなじ芸風だという。
 観客の中には他の早池峰山周辺の神楽団体の方々が何人も来ている、やはり周りからは一目おかれている神楽のようだ。しかし、大出は囃し手以外は他地域から移住してきた人や他市町村在住の方が多く入っている。また、大出も小倉も女性の舞手が入っている。そのためか、かならずしも“厳重で荘厳な感じ”にのみ終始しない、独特の“仲間どうしの楽しさ”のような雰囲気があって面白い。
 数ある演目の中で特に良かったのは大出の鳥舞。大出の囃子は全体的にゆっくりなので、大償系の神楽でいうところの“かなめくずし”の動きが、とてもゆったりと美しく見える。
 全演目が終わると23時ごろ。最初150人弱はいたかと思われる観客も、最後には半分以下に減っていた。そして奉納が終わると同時に雨が強く振り出した。



2001年7月15日(日)
  黒森神社例祭
 宮古市山口の黒森神社の例祭へいく。単純に「黒森神楽を見たいから」という思いももちろんあるのだが、それだけではない。このところ黒森神楽の皆さんにはたいへんお世話になっている。その黒森神楽が拠り所とするとするところの神社のお祭りだ。これはお参りしたい。…てな思い。
 7時過ぎに盛岡の自宅を出発し、9時ごろに神社に到着。神社は黒森山の山腹にある。石段をあがって、立派な神木がそびえる境内にはいる。9時半からの神事を前に、もう数十名の方々が集まっている。
 お参りをしてしばらくすると、石段の下から神楽の囃子がきこえてくる。神楽衆のみなさんがあがってくる。
 9時半、神事が始まる。まず、権現舞が奉納される。続いて祝詞の奏上や参拝者のお祓い。これらの神事にあわせて、神楽の囃子が奏される。この神社の神事にはまさに神楽が欠かせないものだということが伝わってくる。
 神事が終わり、境内で神楽が奉納される。参拝者もだいぶ増えている。
 今回はその神楽の前に湯立て神事と巫女による託宣がおこなわれる。
 切り紙による大乗飾り(?)で四方をかこった釜の前に神官と巫女さんが座し、その後に神楽衆がひかえて囃子を奏する。神官が祝詞をあげ、釜の中にたぎる湯であたりを清める。その間に神楽の囃子が随所で奏され、巫女さんは数珠を繰っている。やがて神官が退き、巫女さんによる託宣が始まる。座ったままかと思いきや、たちあがっての舞が入る。巫女舞である。
 託宣が下され、舞いが終わり、湯立て・託宣の一連の行事が終了。緊張した雰囲気がやっととける。託宣の中身は…ヒミツにしておこう。いずれにせよ、たいへんありがたい託宣に、「信心+精進せねば」とおもわされた。
 続いて、その場で神楽の奉納。境内にブルーシートを敷いて舞う。演目は「清祓」「山の神」「恵比寿舞」「身固め(権現舞)」。足元が滑りやすくて舞い手にとっては大変だっただろうが、若い神楽衆の舞や囃子が今回はとりわけ「ぶ厚い感じ」で、いつにもまして強烈な説得力があった。
 他にもいろいろなことを考えたけど、うまくまとまらないから今日はこれまで。いずれにせよ、自分もまがりなりに民俗芸能に携わっているものとして、黒森神楽からは毎度のことながら“気力”と“方向性”をいただいている。今回もちょうど芸能について頭の中がぐちゃぐちゃしていた時期だったけど、いっぱいいただいた。黒森神楽と、地元のみなさんに感謝。



2001年7月12日(木)
  毒のあるメルヘン
 劇団“よしこ”の「トリメトジコメ」を盛岡劇場へ見に行く。“よしこ”は女の子たちだけによる盛岡の劇団。「毒のあるメルヘン」をコンセプトに、早いペースで新作を上演していっている。
 嫌いなものは何でも箱に閉じ込める主人公の女の子。その周りには使用人のような“飼い主”のような女性が6人いる。あるとき、そこに目を失った女が“100年前”からたずねてくる。「目を取り返しに来た」と言うが、主人公は心当たりがない。主人公と目を失った女、それに6人の女性たちとの間のやりとりや夢により、次第に状況が明らかになってくる。目を失った女は主人公のことが好き。主人公は目を失った女が嫌い。そして、主人公はその女の目にうつる自分が恐ろしくて100年前に目を奪ったことを思い出す。「やはり自分はその女のことを好きだったんだ」と気づいたときにはもう遅く、女は主人公のいつもの習慣にしたがって自分を箱に閉じ込めていく…。
 この話にはいつもの“よしこ”どおり、独占欲とか食人、腐臭、血液、錠剤…といった“毒とメルヘン”が描かれている。“よしこ”の芝居は極端に毒々しいものと「めるへんちっく」と呼ばれるようなものとが、「あ〜、こーゆーことってあるよね」といった日常的な感情の機微によって描かれている。まあメルヘンという言葉自体がもともと毒を含んでいるものではあろうけれども、それがお茶の間的な感覚で証明されているように思う。特に主人公の女の子の「ぼへぼへしてるんだけどちょっとした一言が他人(実はじぶんだったりする)を奈落に落とし込めてしまう」というかんじの役づくりが今回は絶品だった。構成についても前作は「長すぎる」という声があちこちできかれたが、今回は濃密にまとまっていた。
 ちょっと別のはなしになるが、民俗芸能にも、淡々としたストーリーに見えて実は不思議なものが多い。先日、ある有名な神楽の公演をみたときに、その保存会の方が幕前に演目の解説でこんな趣旨のことをはなしていた。
「神楽の多くは神話に筋立のモトがあります。しかしその中には様々な矛盾があるものです。たとえばこれからやる“鳥舞”。これはつがいの鶏の踊りで夫婦和合をあらわしていますが、それぞれイザナギ,イザナミという神様をもあらわしています。この2人の神様は最初は夫婦です。けれども、最後にはイザナミは醜く変わってしまって、逃げるイザナギがあれこれとものを投げつけたという神話があります。それから、次に演じる“翁”。これは不老長寿を祝い、願う舞いですが、人間いつかは死ぬわけです。そういう、かなわない願いを託しているわけです…」
 これまた「毒のあるメルヘン」だな、と、“よしこ”からの帰り道に神楽のことを連想した。



2001年7月7日(土)
  七夕
 知人の個展会場で、中野七頭舞を踊ることとなった。個展の会場は蔵を用いたギャラリー。展示物は七夕をテーマとした飾り物。その下で七頭舞を踊るというもの。その本番が七夕のこの日だ。
 今回、自分は笛担当。他の囃し手や舞い手のみなさんは、この1ヶ月ぐらいの間にずいぶんとよくなったが、私の方はさっぱりだ。息はもたないし、指も固まってしまっている。連日、出張で車を長距離運転しているので頭も朦朧としている。といったわけで何だかよくわからないままに終わってしまった。
 よくわからないなりにいえるのは、笛は最悪だったけど楽しかったということ。それは踊り手が楽しそうだったからで、踊り手に引っ張られてなんとか奏していたといったところだろう。
 また、ギャラリーで踊る前にお囃子を奏しながら近所を回ったのだが、その際に近所の方々が戸口に出てきて私達を注視していたのもオモロかった。盛岡市内ではこういうお通りはあまりないのだが、芸能団体はたくさんあるのだからみなさんやってみたら楽しいだろうと思う。まあ、本来の門付けのように御華が出たり飲みもの食べものが振舞われたりということはなさそう。だから仕込みがなければ完全なボランティアになってしまうだろうけれども、歓迎はされるのでは?



2001年7月5日(木)
  更新後
 7月2日に「芸能ごよみ」を大幅に更新し、今日はその追加分をどかっと更新した。
 今回更新した中身のネタは、7月2日の更新時点で既にそろっていたものがほとんど。ただ、7月2日は眠かったので途中までにしておいた。翌日にさっさと更新すれば良かったのだが、だらだらして今日の更新に…。
 このところ夏祭りの情報をいろいろと掲載しているのだが、夏祭りの詳細はまだ決まっていないところが多い。それだけに、芸能ごよみにも“詳細未定”という情報をたくさん掲載している。ホントはこういうのは詳細が決まってから掲載するようにしようと思っていたし、これまではそうしてきていた。が、遠方から夏休みに見にくる方々はできるだけ早めに日程だけでもおさえておきたいものだろう。そこで、内容は薄いけれども掲載しておくことにした。
 さて、今回は「芸能があるかないかわからない祭り」についても、できるだけ担当者に電話をかけて確認することにした。中には「今回はないけど、秋にはこういうのがありますよ」と親切に教えてくださるところもあった。自治体職員・観光協会のみなさま、ありがとうございます。
 電話をかけていて感じたのは、確実に“よさこい”系の波が岩手でも広がりつつあること。芸能ごよみには掲載していないけれど、“他の地方からゲストで呼ぶ”というのも含めて、いくつかの祭りで“よさこい”が出ることがわかった。
 また、“よさこい”とはまったく別だが、伝統的な地域の芸能を大人数による“群舞”にするという話も目立った。これは芸能ごよみをマメにチェックしていくとわかるはず。
 一方で、伝統的な盆行事も8月12日からの週は各地で行われる。芸能ごよみにはそういう情報は載せないけれども、よりホンモノを見たい方はこの時期にゆっくりと時間をとって見てみてはいかが?(ヨソ者への見せものではないことを心得なければいけませんが…)



2001年7月4日(水)
  七夕前
 近々、七頭舞を踊る機会があるので練習をした。今回、私は笛の担当。音がさっぱり出ず、吹き始めて3分ぐらいで“すかすかぴー”と音が割れ出す。息の出し方は前よりは腹式的になってきているはずだから、指がこわばっているんだろう。という原因は数ヶ月前からわかっているのだが、どうにも改善のきざしがない。とりたてて改善のてだてもとっていないからだが…。今から「左手で箸をもつ」なんてことをやっても、あと数日後の本番には間に合わない。どうしたものやら。
 そんなわけで自分自身の具合はさっぱりだが、今日の練習は楽しかった。本番の会場で練習したのだが、七夕飾りがサワサワしてて気分がよかった。また、スモモやらニンニクやらが供えられているのもミズミズしている。おいしい気分。





6月の日記へ…