一戸まつり 
一戸まつり


日程:
2001年8月24日(金)〜26日(日)
    …(例年は17日〜19日ですが今年は変更)

場所:一戸町内

内容:
 連日13:00〜16:00ごろ、町内を山車(武者人形を飾ったもの),神輿, 鹿踊,七つもの,神楽などのお通りがあります。
 八坂神社・稲荷神社という2つの神社のお祭りで、出演する芸能の種類や 時間,順序などは直前にならないと決まらないそうです。



 …山車&芸能好きのけんちゃんが「一戸まつり」のレポートをくださいましたので紹介します。
  内容は“例年の様子”ですので、必ずしも“今年も同じ”とは限りませんのでご了承ください。

Check the 一戸まつり!!


 〜一戸まつり(八坂神社・稲荷神社例大祭)

@出演郷土芸能について
1.根反鹿踊
 江戸時代の学者 菅江真澄 が東北地方を訪れたときの日記に、鹿が野に戯れる様子 をあらわしているという面白い踊りがあったという一節があります。その踊りこそ、今 に伝わる根反鹿踊なのですが、真澄はその装束が鹿というよりもむしろ龍やら麒麟やら に近いのではと書いており、とすればこの踊りははるか中国大陸から伝わったのではな いかと、見解を述べています。実にロマンあふれるエピソードではないですか。はるか 江戸時代の昔からこの踊りが人々を魅了してきたのだということが、肌で感じられるエ ピソードです。さらにいえば、外の人間としてこの地方にやってきた菅江真澄の目に、こ の踊りが如何に異様に映ったか、それを想像すると、なにやらこの踊りを見ている自分 が、遠くシルクロードの果てにいるような気がしてきます。
 七つ踊の激しいリズムで踊られるこの芸能は、野鹿の角に松明をくくって敵陣に放っ たという故事に倣い、ささらの音は荒ぶる鹿の吐息を表し、敵兵たるささらすりとの一対 一の決闘を演じるという、非常に勇ましいものです。そのほか、税印で隊列を組んで踊る 演目も、激しく上体を上下させ、実に見ごたえのあるものです。装束も、目がさめるほど ケバケバしく、黒字に黄色のふちを取る獅子頭に、五色の幕、七色の紙を束ねた角(炎を 表している)など非常に珍しいものです。
(初日・最終日 町内八坂神社にて奉納 pm6:00  祭期間全日 pm2:00あるいは2:30からのお通りに追随 演舞あり)

2.来田七つ物踊
 根反鹿踊に追随する七つ物です。七つ物といっても、岩泉町のものと比べると随分シ ンプルで、踊り手の一人が杵を放り上げて一回転する動きが中心となっていま す。この動きを如何にドラマチックに演出するかがこの芸能の見所でありまして、それ はじかに見てお楽しみください。
(根反鹿踊とまったく同じ公演日程)  
 
3.小鳥谷七つ物踊
 これも上記したような芸風の七つ物です。装束が古風なのと、独特の笛のメロディー が特徴です。お通りの先頭を勤めています。来田のものもそうですが、お通りの間、か なりの回数踊りますので、比較的見る機会が多いかと思います。

4.楢山神楽・女鹿神楽など
 一戸町に伝承する全ての神楽団体が参加する権現様パレード(二日目PM2:00)のほ か、全日のお通りに神楽の権現舞が追随します。幕の色彩が独特で、歌舞伎の幕のよう な配色になっています。権現舞は、私の知る限りでは一番の出来栄えのように思いま す。首をゆっくりと回す目覚めの動作などは、惚れ惚れするほど上手いです。
(門打ち:主に二日目の夜、商店街駅前付近で行っています。  
 山車が商店街からいなくなってから、一戸音頭の流し踊りが始まるまで。
 天候によって、最終日にずれ込む可能性があります。)


A.山車について
 一戸の山車は五台とも手作りです。非常に一般ウケするような面白い演目を採用して いてよいです。特にも、蝦蟇や虎、狒狒や蜘蛛、大蛇といった化け物系の人形の出来が良 く、馬も非常に躍動的な名品が多いです。また、見返しに大変気を遣っており、おとぎ話な どを不思議な感覚で表現しています。

1.西法寺組
 歌舞伎などの一体物の演目が多いです。上記したような全体の雰囲気から逸脱して、盛 岡の山車などを見慣れている方にはありきたりの演目が多いかもしれません。ですが、 技術が非常にしっかりしていて、山車全体のバランスが良く、命とも言える顔が名品ぞろ いです。
 (過去の名作 「四つ車大八」「矢の根」 「雨の五郎」 「鏡獅子」)

2.野田組
 一戸を代表する、技術とアイディアを兼ね備えた名人集団です。顔も良く、バランスも 良く、馬などの大道具も上手いです。演目も割と珍しいものが多く、30年位前の盛岡の演 目が結構入っています。
 (過去の名作 「伊達正宗」 「遠山金四郎」 「俵星玄藩」)

3.橋中組
 不思議なカラーを持った山車です。どこか幻想的で、人形の表情も情緒があります。桜 の色もやわらかく、赤・ピンク・うすピンク・黄色などと他では見られない配色になってい ます。演目はとても珍しく、おそらく他では見られません。また、見返しにも大変気を遣 い、おとぎ話を中心に、からくりを仕込んだ面白い趣向のものが多いです。
 (過去の名作 「一心太助」 「頼光の蜘蛛退治」 「巌流島」
      「岩見重太郎」 「馬垣平九郎」 「本能寺の変」
 *見返し 「花咲か爺さん」 「かぐや姫」 「梵天丸」 「竜の子太郎」)

4.上町組
 碇や猪、馬などの大道具がでかいです。しかも木彫だそうです。一度、組の方のご好意 で山車の道具庫に入れてもらったとき、亀や虎など、実に出来のよい木像がたくさんあり ました。あれを使って、まだまだ名作が生まれそうです。比較的長い車体をたくさんの牡 丹でカバーしており、ずらりと並ぶ牡丹は圧巻です。見返しにアニメキャラクターを飾 ることがあり、賛否両論がありますが、私としては、子供たちの喜ぶものをという作り手 側の心遣いに、拍手を送りたいと思っています。
 (過去の名作 「仁田四郎忠常」 「八幡太郎義家」 「碇知盛」 )

5.本組
 職人さんいわく
「ここ二十年の間、うちの組では他と同じ物(演目)を出したことが無い」
そうです。確かにここの組の山車も、他ではめったに見られない、いや、絶対見られない 演目が多いです。見返しも、表と関連している場合が多いので、ちょっと感動します。大八 車を使った盛岡風の作りなので、余計にこういった気遣いが光ります。
 (過去の名作 「遠藤盛遠」 「本多忠朝」 「奇襲厳島」
 *見返し 「文覚上人」 「出雲阿国」 「折箭の戒め」)
 一戸の山車のお囃子の特徴として、音頭上げのときに太鼓をたたいてリズムをとると いうのがあります。二日目が一番音頭を上げる機会が多く、三日目は夜六時ごろから各町 内でというかんじです。


B食べ物
1.とんかつ弁当
 実は一戸こそ、とんかつ弁当をはじめた最初に土地なのです。昭和30年頃の東北駅弁ベ スト3に数えられるくらい有名でした。この弁当、実にいい豚肉を使っていて、たれも絶品 です。一戸駅のキオスクでお求め下さい。
2.浜焼き
 キャンプなどでよくやる川魚の串焼きを、鯖やニシンでやっています。店の人いわく、 この食べ方がもっともおいしい魚の食べ方なんだそうです。炭火で一時間、丹念に焼かれ たニシンはおいしいですよ。300円くらいだと思いました。駅前の魚屋2・3軒で売ってい ます。
 このような、その土地独特の食べ物を片手にお祭見物というのも、なかなかいなせでよ いと思っています。
   
  
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…というわけで、けんちゃんに感謝。
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